USBディスプレイアダプタの特徴を考慮してパソコンとディスプレイをUSB経由で接続する

ノートパソコンにディスプレイを沢山 (5台以上) 接続するのは容易ではありません。一般的なノートパソコンではそれを実現するには USBディスプレイアダプタを使います。USBディスプレイアダプタは、パソコンとディスプレイをUSB経由で接続する機器です。画面表示の変化が乏しいような場面での利用に適しています。パソコンが高性能であればカジュアルな動画再生には実用性があります。制作やアクションゲームなど遅延が気になる場面、4K 60Hz や 5K 60Hz などの高い表示能力が必要な場面には不向きです。用途によるのですが、遅延は実際に使用する場面でストレスになるので、予め体感しておくのが良いと思います。

ノートパソコンには外部ディスプレイを
接続するための VGAポート、HDMIポート、
(Mini) DisplayPort などの端子が幾つか備えられています。

これらのディスプレイ接続用の端子は
多くのの場合で 1つか 2つ備わっています。
0 又は 3つという場合もたまにあります。

ですから、ノートパソコンでは本体画面とあわせて
概ね 3〜4ディスプレイまでを構成することができます。

それ以上の多くのディスプレイが必要な場合はどうするか。
今回は、ノートパソコンで 4画面を超える
マルチディスプレイの構成方法の一例をお話します。

USBディスプレイアダプタとは

デスクトップではグラフィックボードを
交換、あるいは追加することで、比較的
容易に 8ディスプレイなどを構成できます。

しかし、ノートパソコンではグラフィックボードの
交換や追加が困難なため、 4枚以上のディスプレイが
必要な場合には USBディスプレイアダプタを使用します。

usb_display_adpter_1

USBディスプレイアダプタとは、上図のように
パソコンとの USB接続経由して
ディスプレイと接続できるようにする機器です。

USBディスプレイアダプタは数多くの商品が流通しています。
心臓部には DisplayLink という会社の
DL-xxxx という部品がよく使われているので
これを例にしてその仕組みを説明してみます。

usb_display_adpter_2

内部の仕組みとしては、上図のように

  1. 専用ソフトをインストールして仮想的にディスプレイを増やします。これはいくらか制約があるものの通常の1画面と同様のものです。
  2. 仮想ディスプレイ上でマウスカーソルの移動、ブラウジング、動画再生などをすると仮想ディスプレイの表示内容が変化します。専用ソフトがこの変化に呼応して、差分を圧縮データにして USBディスプレイアダプタへと送信します。
  3. USBディスプレイアダプタは圧縮データを解凍します。
  4. そこから繋がっているディスプレイに表示内容の信号を送ります。

FullHD (1920×1080) の解像度では HDMI が
よく用いられます。HDMI にはバージョンがあり、
1.0、1.1、1.2、1.2a の伝送速度が 4.95Gbps、
1.3、1.3a、1.4、1.4a の伝送速度が 10.2Gbps です。
これらの伝送速度ではいずれも 4K の動画を
十分に扱えないためバージョン 2.0 が策定されています。
2.0 の伝送速度は 18Gbps です。

これらに対して USB 2.0 は 0.48Gbps、
USB 3.0 は 5Gbps、USB 3.0 (gen 2) が 10Gbps です。
全てのポートが、ノートパソコン内部で 1つのルートハブに
繋がっている場合、この帯域は全ポートで分け合うことになります。
素直にディスプレイ信号を扱うと USB 3.0 であっても帯域が足りなくなる恐れがあります。

そこで、専用ソフトと外部機器の連動によって、
最小限度の帯域で済むように、表示の『差分』を
『圧縮』して転送するという工夫がなされています。

USBディスプレイアダプタの心臓部

DisplayLink の Technology Overview を表にまとめると以下のようになります。

4K 解像度に対応する最新の IC (心臓部) は DL-5xxxx IC Family です。
USB 3.0 と 2560×1600 60Hz など現行の高解像度機器
に対応するのは DL-3000 IC Family です。
USB 2.0 と FullHD など現在普及している機器
に対応するのは DL-1×5 IC Family です。

チップ 最大解像度 ビデオ出力 USB その他
DL-5500 3840×2160 30Hz
(2560×1600 60Hz)
VGA/DVI/HDMI 3.0/2.0 DL 3.0、DHCP 2.0、DisplayPort 1.2
DL-3950 2560×1600
(2画面 x 2560×1600 60Hz)
VGA/DVI/HDMI 3.0/2.0 DL 3.0、HDCP 2.0、DisplayPort 1.1、2つのビデオ出力、
DL-3900 2560×1600
(2画面 x 2048×1152 60Hz)
VGA/DVI/HDMI 3.0/2.0 DVI with HDCP、HDMI width DHCP 1.3、HDCP 2.0、DisplayPort 1.1、2つのビデオ出力
DL-3700 2560×1600 VGA/DVI/HDMI 3.0/2.0 DVI with HDCP、HDMI width DHCP 1.3、HDCP 2.0、DisplayPort 1.1
DL-3500 2560×1600 VGA/DVI/HDMI 3.0/2.0 DVI with HDCP、HDMI width DHCP 1.3、HDCP 2.0、DisplayPort 1.1
DL-3100 1920×1200
(2048×1152)
VGA/DVI 3.0/2.0 DVI with HDCP、HDCP 2.0
DL-195 1920×1200
(2048×1152)
VGA/DVI 2.0 DL 2+
DL-165 1920×1080 VGA/DVI 2.0 DL 2+
DL-125 1600×900 VGA/DVI 2.0 DL 2+

これらは数台を同時接続でき、条件によりますが
最大で 6つのディスプレイの接続が可能です。

USBディスプレイアダプタの制約

全ての USBディスプレイアダプタが
同一の制約を持つ訳ではありませんが、
しかし、USBを経由しない通常のディスプレイの接続と
比べると何らかの制約が付くのが一般的です。

DisplayLink の場合では

  • Windows や OS X などの OS が起動し、専用ソフトが動作している状態になって始めて動作します。BIOS などを表示する画面としては利用できません。
  • 仮想ディスプレイの表示内容の差分を『圧縮』して送信します。そのため、表示内容に応じて CPU、GPU、メモリなどのコンピュータ資源を消費します。
  • コマ落ち、30fps など実用の範囲にあって少し低いフレームレートとなる場合があります。
  • 圧縮、転送、解凍など、中間での処理が必要となるために、表示にはタイムラグが発生します。

OS や専用ソフトの動作が必須ですから、
USB経由で接続するディスプレイのみでの運用は不便です。
トラブルが発生すると画面が表示されないこともあり得ます。

USB経由で接続するディスプレイ上での、
フルスクリーン動画再生を考えてみます。

まず、動画再生のためにCPUを使います。
仮想ディスプレイ上ではめまぐるしく表示内容が変化しますから、
動画をリアルタイムで再び圧縮することになります。
そして、これを次々とUSBディスプレイアダプタへと送信します。

リアルタイムの動画圧縮には相応の
メモリとCPUパワーが必要ですから
USB経由で接続するディスプレイの解像度、画面数、
表示内容に応じてより高性能のパソコンである必要があります。

例えば、Macbook Air (Core 2 Duo 1.86Ghz、メモリ2GB) と
USB 2.0経由で接続する FullHD ディスプレイでは
遅延を感じるのではないかと思います。

USBディスプレイアダプタの使いどころ

ほとんど表示に変化がないが、しかし、
まったく変化が無い訳ではないので紙では代替できない
大量の情報の表示に関してUSBディスプレイアダプタは便利です。

カジュアルな動画再生などでも、パソコンが
高性能であれば実用性を感じるかもしれません。

しかし、制作やアクションゲーム等の遅延が気になる場面、
4K 60Hz や 5K 60Hz など高い表示能力が必要な場面には不向きです。

特に、高解像度が必要である場合、
不足するUSBの帯域と圧縮という関係上、
遅延は仕組み的に避けられないように思えます。
YouTubeの商品紹介動画などでは掴みにくいところもあるので
用途によりますが、ウインドウの移動や、テキスト編集など、
ストレスがないかどうか実際に感触を確かめた方が良いと思います。

専用ソフトやドライバ

メーカーの正式なサポートが終了しているなど、
最新のソフトウェアが推奨される方法では得られない場合、
搭載されている心臓部 (=IC) が例えば DisplayLink の
ものであれば、DisplayLink Downloads から
最新のドライバなどのソフトウェアをダウンロードすることができます。

これは推奨される方法ではなく、保証もありませんが、
実際に、メーカーが配布するソフトウェアが古くて
最新 OS での正常動作が得られない場面で、
これを解消できたことはあります。

以上、大量の情報をディスプレイに表示したい方のご参考になれば幸いです。

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