設定できない税込価格がある?!

お金に関してきっちり計算しようとすると、消費税の扱いは以外と面倒です。条件によって、設定できない税込価格が発生したり、売上を表にまとめたときに金額にズレが生じたりします。価格や消費税などを、1円単位ですっきり扱いたい、あるいは買得感を出すために端数を切り捨て処理したいなど、一見すると問題ないように感じられる条件が、その組み合わせによって問題となることを例示します。

消費税 8% で税込価格 9800円を考えてみる

以下の3つをなるべく 1円単位で扱う方針で
消費税 8% で税込価格として9800円を考えてみます。

  1. 税抜価格
  2. 税込価格
  3. 消費税額

例えば、1円単位で設定する税抜価格を基準に
税込価格をまとめると下表のようになります。

税抜価格 税込価格
消費税の小数点以下を切り捨て 9073円 9798円
(9798.84円)
9074円 9799円
(9799.92円)
9075円 9801円
(9801.00円)
消費税の小数点以下を四捨五入 9073円 9799円
(9798.84円)
9074円 9800円
(9799.92円)
9075円 9801円
(9801.00円)
消費税の小数点以下を切り上げ 9073円 9799円
(9798.84円)
9074円 9800円
(9799.92円)
9075円 9801円
(9801.00円)

上表のように、
税抜価格が 1円単位 かつ
消費税額を小数点以下で切り捨て の条件では
端数処理後の税込価格 9800円は存在しないことが分かります。

設定できない税込価格は無数にある

以下のような条件を設けた場合には
設定できない税込価格が無数に発生します。

  • 税抜価格が 1円単位
  • 消費税額の計算は小数点以下で『切り捨て』、『四捨五入』、『切り上げ』のいずれかで統一

『切り捨て』の場合に存在しない税込価格を幾つか例示します。

  • 税込 1700円
  • 税込 2200円
  • 税込 4400円
  • 税込 4900円
  • 税込 7100円
  • 税込 7600円
  • 税込 9800円
  • 税込10300円

『切り捨て』ではなく『切り上げ』や『四捨五入』ではどうでしょうか。
今度は別の 切りの良い 税込価格が存在しなくなります。

『切り上げ』の場合に存在しない税込価格を幾つか例示します。

  • 税込 3200円
  • 税込 3700円
  • 税込 5900円
  • 税込 6400円
  • 税込 8600円
  • 税込 9100円

『四捨五入』の場合に存在しない税込価格を幾つか例示します。

  • 税込 1100円
  • 税込 1600円
  • 税込 3800円
  • 税込 4300円
  • 税込 6500円
  • 税込 7000円
  • 税込 9200円
  • 税込 9700円

金額がズレる

お金の管理ではズレがあってはいけません。
しかし、売上表などの作りによってはズレが出ます。

消費税額を小数点以下『切り捨て』とした
売上表の例を考えてみます。

販売した商品 税抜価格 消費税額 税込価格
ライオンの置物 1298円 103円
(103.84円)
1401円
(1401.84円)
キリンの置物 1598円 127円
(127.84円)
1725円
(1725.84円)
カバの置物 1410円 112円
(112.80円)
1522円
(1522.80円)
合計 4306 342円
(344.48円)
4648円
(4650.48円)

※括弧書きは小数点以下切り捨て前の金額です。

個々の商品毎に消費税額と税込価格を計算し、
その後、それらを足し合わせた場合には
消費税額の合計が 342円、税込価格の合計が 4648円となります。

しかし、全体の税抜価格を計算してから、それに対して
消費税額の合計を計算すると 344円 (344.48円) 、
税込価格の合計は 4650円 (4650.48円) となります。

必然的に金額が2円ズレます。

売上表を 1円単位で作ると
本質的には存在している小数点以下の金額が
計算から除外
されることになります。
1円未満の貨幣はなくとも、金額としては存在しているため
これを無視した分がズレという形であらわれます。

コンピュータの計算誤差

コンピュータは整数の扱いは得意ですが
小数点数の扱いは苦手です。
そのため、特に意識せずにコンピュータで
小数点数を扱うと、小さいながら誤差がでてきます。
場合によっては金額のズレにつながります。

このような問題を軽減、又は回避するためには、
兎にも角にも整数しか使わないようにするか、
利用するソフトの説明を良く知っておくことが有効です。

もし、表計算とマクロなどを使って
お金を扱うソフトを自作しよう!
という方は以下のような技術的な要素を知っておくと良いと思います。

消費税の計算と表記について

これらと関係する法律についても
少しまとめておきます。

(通貨の額面価格の単位等)
第二条  通貨の額面価格の単位は円とし、その額面価格は一円の整数倍とする。
2  一円未満の金額の計算単位は、銭及び厘とする。この場合において、銭は円の百分の一をいい、厘は銭の十分の一をいう。

(債務の支払金の端数計算)
第三条  債務の弁済を現金の支払により行う場合において、その支払うべき金額(数個の債務の弁済を同時に現金の支払により行う場合においては、その支払うべき金額の合計額)に五十銭未満の端数があるとき、又はその支払うべき金額の全額が五十銭未満であるときは、その端数金額又は支払うべき金額の全額を切り捨てて計算するものとし、その支払うべき金額に五十銭以上一円未満の端数があるとき、又はその支払うべき金額の全額が五十銭以上一円未満であるときは、その端数金額又は支払うべき金額の全額を一円として計算するものとする。ただし、特約がある場合には、この限りでない。

通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律 より

つまり、 1円未満の金額で取引可能です。
流通している通貨は 1円単位なので、
現金で支払うときは、原則として
小数点以下を四捨五入です。
当事者間の取り決めにより、切り捨てや
切り上げで処理しても問題ありません。

(価格の表示)
第六十三条  事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この条において同じ。)を行う場合(専ら他の事業者に課税資産の譲渡等を行う場合を除く。)において、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない。

消費税法 より

つまり、不特定多数の一般消費者に価格を提示する場合は
原則として必ず税込価格を表示しなければなりません。

(総額表示義務に関する消費税法の特例)
第十条
 事業者(消費税法(昭和六十三年法律第百八号)第六十三条に規定する事業者をいう。以下この条において同じ。)は、自己の供給する商品又は役務の価格を表示する場合において、今次の消費税率引上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁のため必要があるときは、現に表示する価格が税込価格(消費税を含めた価格をいう。以下この章において同じ。)であると誤認されないための措置を講じているときに限り、同法第六十三条の規定にかかわらず、税込価格を表示することを要しない。


消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法
より

つまり、消費税が 8%、10% と段階的に
引き上げられるため、その経過措置として
平成30年9月30日までは例外的に税込価格を表示しなくても良いということです。

これに関しては国税庁が以下のような資料も配布しています。

最後に

さらりと眺めると以下のような条件に
特に問題はないように感じられます。

  • 1円単位で分かりやすくしたい
  • 税込価格、税抜価格、消費税額を併記したい
  • 税込価格で切りの良い金額を設定したい
  • 税抜価格で切りの良い金額を設定したい
  • 買得感を出すために消費税額の端数は切り捨てにしたい
  • 売上表でどう計算してもズレが発生しないようにしたい

しかし、ここまで長々と書き連ねたように、
よくよく考えてみると上手く行きません。

上手く行かない一例に過ぎないのですが、
税込価格、税抜価格、消費税額について
疑問を感じられた方のお役に立てば幸いです。

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