液晶ディスプレイ VS e-Ink (電子ペーパー) 、読書が快適なのはどっち?

液晶ディスプレイ VS e-Ink (電子ペーパー) 、読書が快適なのはどっち? Reading on LCD vs e-Ink displays: effects on fatigue and visual strain によると引き分けです。
研究者らは、紙の読書が快適であるなら、バックライト付き液晶よりも紙に近い表示が得られる e-Ink (電子ペーパー) の方が読書が快適だろうと予想し、比較のために実験したところ、両者の快適性には特に差が無かったのとのことです。また、表示技術の違いよりも、むしろ画質 (=画素密度) の方が重要である可能性を示唆しています。
1つの実験結果ということで鵜呑みにはできませんが興味深いです。こうした研究が、紙、液晶ディスプレイ、 e-Ink (電子ペーパー) など、現在存在している表示技術よりさらに優れた表示技術 (解像度や光刺激など) に繋がると思うと楽しみです。

液晶ディスプレイ と e-Ink (電子ペーパー) では
どちらが読書に快適なのかを調べた研究があります。

Reading on LCD vs e-Ink displays: effects on fatigue and visual strain

内容

内容を6行でまとめるとこんな感じです。

表示技術は読書の快適性に影響しそう。
ディスプレイよりも紙の方が快適であるなら、
バックライト付き液晶ディスプレイよりも
紙により近い e-Ink の方が快適であって良いはず。
でも実際に実験してみたら意外にも差が無い。
むしろ画質 (画素密度) の方がずっと重要そうだ。

lcd_vs_e-ink

以下はざっくり訳したものです。

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要旨

目的:
近年、高解像ディスプレイを備えた軽くて持ち運びしやすい読書用の機器が普及してきています。それらの機器によって、教育、ビジネス、プライベートなどでの読書において、新しい可能性が開けてきました。文字を適切な大きさに変更できる機能は、視力に難を抱える人々に対しても新たな読書の機会となるでしょう。
さて、それらの機器は、そのディスプレイに関する基本技術によって 2種類に大別することができます。1つは e-Ink の名でも良く知られている電子ペーパーを使ったもので、電子書籍 (e-book) 専用機に多く見られます。もう 1つはバックライト付きの液晶画面を使ったもので、多機能なタブレットPCに多く見られます。 (ブラウン管や液晶などの) ディスプレイは読書を遅くしたり目の疲労と繋がるものと考えられてきた一方で、新世代のディスプレイは明らかに読書を進展させます。
ディスプレイでの読書よりも紙での読書の方が快適 (速くて一行あたりの凝視も少ない) という報告があるので、e-Ink と 液晶ディスプレイでの読書を比較したら e-Ink の方が快適という結果になると考えるのが自然とも思えます。そこで、この研究では 2種類のディスプレイの違いが長時間の読書にどんな影響を及ぼすのかを実際に比較してみました。

方法:
被験者に e-Ink か 液晶ディスプレイで数時間の読書をしてもらい、その時の振る舞いや疲れに対して、様々な角度から一定間隔で記録をとりました。記録対象には、主観的な目の疲労、文字を探すという課題、読書の速さ、眼球の運動、光に対する瞳孔の反射が含まれています。

結果:
結果が示したのは、 e-Ink と バックライト付き液晶ディスプレイという 2つの異なった機器での読書は、主観的評価と客観的評価のいずれもがとても良く似ていて、意外にも両者には差がないというものでした。

結論:
読書の快適性に関しては、 (紙、e-Ink、バックライト付き液晶などの) 基本的な表示技術ではなく、むしろ画質の方が決定的に重要そうです。数十年前のディスプレイと最近のそれとを比べると、最近のディスプレイならば例え長時間であっても良好で快適な読書が可能であると言えそうです。

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ちょっと考えてみる

光について

石盤、竹簡、紙、液晶ディスプレイ、電子ペーパー (e-Ink) 、
どれであれ、人間の目は光を見ているわけですから、
適切な光の加減で比較すれば読書の快適性に差は無い
という可能性はあるかもしれません。

ところで、適切な光ということに着目すると、
黒地に白字の紙や、画素が自己発光する有機EL
などでの読書はより快適になる可能性を想像できます。

例えば、紙は白地に黒字という習慣があります。
これを反射光で目が疲れないように黒地に白字、
それもブルーライトが減るような淡いクリーム色っぽい白字にすると
『光』という側面に関してより快適な読書が得られるかもしれません。
現在は透明な紙を作る技術もあるようですから、
地色の影響無しのとても美しい本が作れるかもしれません。

画素そのもが発光するという点で、
有機ELでは紙と同様の表示が得られることでしょう。
実際、手元の有機ELディスプレイで
黒地にブルーライトを低減した白字で表示すると、
少なくとも就寝前の読書は快適と私には感じられます。

画質について

もう一点、画質についての言及なのですが、確かに
体験的には画素密度が高いと読みやすい印象があります。

以下の表は、私が 10年くらいの間に
使用したことのある機器を列挙したものです。
技術の進歩によって機器の画素密度が
年々、少しずつ向上してきているのが見て取れます。

スマートフォン
2005年 216ppi (W-ZERO3)
2007年 311ppi (Advanced/W-ZERO3 [es])
2010年 326ppi (iPhone4)
2013年 326ppi (iPhone5S)
2013年 441ppi (Nexus 5)
タブレット
2011年 132ppi (iPad 2)
2012年 264ppi (iPad 3)
2014年 288ppi (Nexus 9)
持ち運び用パソコン
2004年 124ppi (LaVie RX)
2009年 135ppi (Aspire 1410)
2010年 130ppi (MacBook Air 13-inch)
2010年 269ppi (FMV-BIBLO LOOX U)
2012年 220ppi (MacBook Pro Retina 15-inch)
据え置き用パソコン (ディスプレイ)
2005年 94ppi (UltraSharp 2405FPW)
2009年 108ppi (iMac 27-inch、U2711)

ここで、画素密度が読書の快適性に影響するのではと
感じたのは、画質が向上した時ではなく、
新しい機器同時古い機器を使った時でした。

例えば、MacBook Pro Retina 15-inch や Nexus 5 と
同時に iPad 2 で表示した文章を読もうとすると、
ピンぼけ画像になんとか焦点をあわせようと
眼が頑張り続けているとでも言いましょうか…
そんな使いにくさを感じます。

読書では画素密度が非常に重要な要素なのかもしれません。
それだけでなく、同時に目するものの精細感も
ある程度揃っていることも効いてくるかもしれません。

一般的な印刷物はモノクロ 600dpi や
カラー 350dpi、175lpi と聞いたことがあります。
表示機器の全てが概ねこのレベルで揃うと
使いやすくなるのではと思います。

読書を『文字を読む』と狭く捉える場合であって、
かつ、読書の快適性には画素密度が重要であるならば、
超高画素密度の電子ペーパーもありでしょうか。

超高画素密度であれば、
ピクセルを肉眼で確認することができません。
点としてまるで認識できないレベルの汚れであれば、
読書の快適性への影響はほとんどゼロだと思います。
多くの画素を1つの欠落もなく精密に制御することは
大変に難しいですが、あまりに画素密度が高ければ
ある程度の割合で制御に失敗しても肉眼では判別できないでしょう。
つまり、 (画素間の距離と影響内容が独立であれば)
通常はいくらか灰色が掛った白いページになるはずなので、
ラフな制御でも成り立つ可能性があります。
たまに目立った汚れとして目視できるかもしれませんが、
それは一過性のもので、次の書き換えでクリアされます。

誤差を許容することで劇的な省電力を目指す
コンピューティングというものもあります。
誤差を許容することで劇的な高画素密度化が
可能にはならないものでしょうかね?

以下のwebサイトでは、 5億7600万画素で視野を埋め尽くせば、
人間の目には実物のように見えると紹介されています。

人間の目の解像度は、何万画素?

超高画素密度化などの表示に関わる様々な要素が、人間の
読むや見るといった行為にどんな影響を与えるのか興味は尽きません。

(電子) 書籍での読書をなるべく快適にするために

どんな表示技術であれ、可能な限り
高画素密度の方が望ましい可能性が示唆されました。
高画素密度で、画面サイズは
目を十分に離せる程度の大きさなものを選び、
読書時は適度な明るさで、
あまり長時間読みすぎないようにすると良いのでしょう。

焦点距離や明るさに応じた調整を行うためには
目の筋肉 (毛様体筋) が使われます。
目の筋肉を酷使すれば目が疲れます。
読書も運動と同じで疲れるのです。
目を瞑ったり遠くを見たり、
休憩や緩急をつけることで疲れを抑え
られます。

疲れとはまた違いますが、視力への影響も考えられます。
明るさにが視力低下に直接つながるという医学的根拠はないそうですが、
暗過ぎるところ (あるいは明る過ぎるところ) での読書は目がとても疲れます。
そして、近くを見続けることは視力低下につながるとされています。

暗過ぎたり、文字が小さすぎれば、
近くで見続けることに繋がりますから、
目を十分に離しても快適と感じるような
明るさ、画面サイズ、文字サイズとすることで
間接的な視力低下を避けることことができると思います。

運動して疲れても、それは筋力低下に直接つながりません。
しかし、同じ運動で身体の一部を酷使し続けたり、
同じ姿勢を続けると、身体の凝り、炎症などの不調につながります。
読書での疲れや視力低下も同じようなことなのかもしれません。

私は暗い部屋で、明るさを最小に落とした液晶ディスプレイを
40〜100cm くらいの距離から見ていることがあります。
このような状況下でディスプレイに向かうことが
しばしばありますが視力が 1.0 以上あります。

1サンプルなのであまり参考にもならなかもしれませんが、
少なくとも私自身は
・高画素密度
・大きめの表示機器
・大きめの文字
・適当な明るさ (暗さ)
・休憩
・遠くを見る
で視力を保てています。

以上、読書を快適にするお役に立てば幸いです。

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