新しい MacBook の購入前には、接続予定の機器がどれだけのデータ転送帯域を必要とするのかを予め確認しておくと良さそうです。
MacBook Retina 2015
新しい MacBook がラインナップに加わりましたね。
ぱっと見たところ、主な特徴は以下のようなものです。
1.少ないポート
(光デジタルオーディオ出力兼用の)
ヘッドフォンポートが1つと、それにUSB-Cポートが1つ。
電源やディスプレイ出力なども 1つのUSB-Cポートで兼ねる。
2.機能が増したトラックパッド
感圧トラックパッド。
クリックの強さ、筆圧的なものが扱えるようになる。
3.MacBook としてもっとも軽量
質量はおよそ 920g。
放熱はファンレス設計。
より薄くなったキーボードのためのバタフライ構造。
4.ディスプレイ
2304 x 1440 ピクセル (226ppi) で
IPS方式 の 12インチ の Retina ディスプレイ。
ちなみに価格は 148,800円 (税別) からとされています。
USB-C は実は DisplayPort
MacBook の仕様によると USB-C ポートは
・USB 3.1 Gen 1 (最大5Gbps)
・DisplayPort 1.2 ビデオ出力
に対応しています。
USB 3.1 の最大データ転送能力は 10Gbps です。
それに対して DisplayPort 1.2 の最大データ転送能力は 20Gbps です。
MacBook の USB-Cポートが通常の USB 3.1 と考えるとつじつまがあいません。
MacBook の仕様上、
USB 3.1 が最大10Gbps ではなく 最大5Gbps であり、
USB 3.1 の2倍の帯域を持つ DisplayPort 1.2 にも対応していることから、
MacBook の USB-Cポートは the DisplayPort Alternate Mode (“Alt Mode”) on USB Type-C Standard であると考えられます。
※DisplayPort Alternate Mode についての参考サイト
VESA® Brings DisplayPort™ to New USB Type-C Connector | VESA
これをざっくりと表現するなら
USB ケーブルを使った DisplayPort と言えます。
もう少し詳細に表現するなら、
コネクタに USB Type-C を利用して、一本のケーブルで、
・DisplayPortの信号 (音声と映像) を送る
・USB 3.1 のデータ信号を送る
・最大100Wの電力を供給する
ことを可能にするような DisplayPort の拡張仕様です。
なお、DisplayPort は Apple が採用している
Thunderbolt と概ね対応するポートでもあります。
ここで、DisplayPort で外部ディスプレイと接続する場面を考えてみます。
DisplayPort 1.2 や Thunderbolt 2 は
最大 20Gbps のデータ転送能力を持ちます。
WQHD (2560 x 1440) のディスプレイを
60Hz で利用するには 10Gbps あれば十分です。
4K や トリプルディスプレイが標準にでもならない限り、
10Gbps もの帯域が余ることになります。
ハードウェアが DisplayPort Alt Mode に対応していれば
データ転送帯域を振り分けることで DisplayPort と USB を
同時に転送することが可能になります。
もちろん、既存の機器と接続するには、
それぞれにあったコネクタやケーブルも必要です。
MacBook の USB-Cポート とドッキングステーションやハブのようなものとを
USBケーブル 1本で接続し、そこから各機器と接続するような形態になるのでしょう。
例えば、MacBook と ドッキングステーションを
USBケーブル 1本で接続することで以下の全てが行えることでしょう。
・MacBook の充電
・ドッキングステーションが備える DisplayPort で外部ディスプレイと接続
・ドッキングステーションが備える USB 3.1 経由で外付けハードディスクと接続
ノートパソコンに外部機器を沢山接続すると
それらの着け外しが面倒になって、据え置き化することがあります。
ですから、電源ケーブルまで USB-Cポート 1つで兼ねることで、
充電および外部機器との接続を一つに統合することは
ノートパソコンの可搬性と拡張性のバランスをとるための
シンプルな設計案なのかもしれません。
購入前に帯域が十分であることの確認を
仕様から察するに MacBook の USB-Cポートの帯域は 20Gbps と考えられます。
そうであるとすると、
5K 60Hz には帯域が足りません。
4K 60Hz + USB 3.1 SSD にも帯域が足りません。
一方、
WQHD (2560×1440) 60Hz + USB 3.1 HDD には十分な帯域があります。
4K + USB 3.1 HDD がどの程度いけるかどうかが気になるところですが、
これは実装と機器の組み合わせによります。
4K 30Hz であれば 10Gbps に収まります。
ですから、30Hz であれば 4K と HDD を同時に扱えそうです。
4K 60Hz であっても色情報を大幅に間引けば 10Gbps に収まります。
このあたりの確認には、詳細な仕様や動作実績を待つ必要があることでしょう。
お問い合わせについて
業務として技術コンサルティングやシステム設計・開発を行っております。
気になることがありましたらご相談下さい。
ご相談のみで完結する場合、コンサルティング費用の目安は
内容によりますが1時間で5千円〜1万円ていどです。
コンサルティングや開発を検討されるその前に、
まずはお気軽にコメントやメールでご連絡下さい。
※ご契約前のコメントやメールでのやりとりは無料です。