年末大掃除の季節ですね。
手際よく掃除を進めるためには
以下の3つを区別することが大切です。
- 整理
- 整頓
- 清掃
今回は掃除の最後に行う
清掃についてお話しします。
清掃とは?
ものを減らしたり、位置をかえることなく
汚れを落とすことです。
ただし、最初から明らかにゴミと分かっているものを
捨てる…これはものが減りますが、例外的に清掃に含めます。
不要とおぼしきものを見つけ出すことは
整理であって清掃には含めません。
なぜ整理、整頓、清掃の区別なく一緒くたにしてしまうのか
人類の、いえ、もっといえば生物の歴史のなかで
もの (資源) がありあまるという状況は稀です。
つまり、整理 (=捨てる) という能力は
不要であるばかりか、基本的には生存上有害。
ですから、人間は生物の仕組みとして、
ものを蓄えるようにできていると言えます。
また、持ち物がすくなければ、
それを使いやすく収納するといっても
場所やレイアウトも限られます。
進化的観点から考えると、整理と整頓は
あまり重要ではなかったと言えます。
むしろ、出番がなかったと言えるでしょうか。
一方、清掃は重要です。
衛生状況によっては病気になって死ぬかもしれません。
生命にとって清掃は整理・整頓よりずっと重要です。
ですから、私たち人間にとっての
掃除とは基本的に清掃 (=衛生状況を良くすること) です。
飽食の時代、使い捨ての時代がやってきたことで
急遽それに対応すべく、既存の枠組みに
整理と整頓が加えられたため、
人間は整理、整頓、清掃をうまく区別して
実行できないのではないかと思います。
清掃をうまくやるには
清掃するときに、
整理と整頓を決して同時にはしないことです。
以前の記事でもお話しましたが
特に整理は非常に覚悟のいる作業です。
ついでにできることではありません。
小さな決断であっても、意思力とでもよぶべきものを消費します。
大掃除中、絶え間なくものの要・不要を決断し続けるのは無理があります。
コロンビア大学の Sheena Iyengar 博士は
「The Art of Choosing (選択の科学)」で以下のように示しました。
- 普通のアメリカ人が1日にする選択の数は70
- 普通のCEOが1週間に従事する職務の数は139個
CEOの職務は決断ですから、つまり
ざっくり毎週139個の決断をしているのでしょうか。
そして、この決断のうちの50%は9分以内に行われます。
あのときの思い出のCD、
まだ使えるMDプレーヤなど、
これを最終的には捨てられるとしても
最初に見た瞬間からゴミだと感じられるでしょうか?
これらをゴミだと決めることには意思力が必要です。
想像してみください。
例えば、1日で今年着るためのの70着の洋服を選ぶ、
1日で今月の90食分の献立を決めるなどに
どのくらいの意思力が必要かということを。
1日で何回も決めるのは結構大変なことです。
大分、整理の話をしてしまいました。
清掃と同時に整理をすると具合が悪そうなことが
なんとなく伝わるでしょうか。
大掃除は年末にすべきではない?
よくよく考えると、大掃除は
年末にすべきではないかもしれません。
昔とちがって、ともすれば
清掃よりも、整理・整頓がメインになります。
それは決断力を要する仕事です。
わざわざ慌ただしい年末にすることもありません。
また、清掃に使う化学薬品は
おおむね暖かい方が反応が良く、
汚れも良く落ちます。
年度始めや年末の忙しいところを避け、
掃除で身体を動かすことを考慮して
暑すぎたり寒すぎる時期も避けると…
9〜11月に大掃除の実質的な部分を済ませるのが
合理的なのかもしれません。